腰痛対策に。1人でもしっかりストレッチする方法。

腰痛。悩まされている方は多くいると思います。
なんでも国民の5人に1人は腰痛を感じているとか。

腰痛の原因は、背骨の生理的なカーブの関係で弱いとか、上半身の重さを支えるから、などの構造的な問題もありますが、セルフケアが難しいことも原因の1つかと思います。

論文を漁っていたら、1人でできる腰痛対策のいい感じのストレッチが紹介されていました。
まずはやり方から。

  1. 正座する。
  2. そのまま背骨を前に40°~45°傾ける。そのまましばらくキープ。
  3. そこから伸ばしたい方の反対に身体を30°横に傾ける。そのまましばらくキープ。

楽な姿勢をとるためにお腹の辺りにストレッチポールを置いても良いとのこと。
背中が丸まらないように胸を張ったまま前に倒れるイメージで。
私がやってみた感じ、背骨を前に傾けるときに大腿の付け根辺りを手で突っ張り、背骨に牽引力をかけてあげるとよりストレッチをかけやすいかと思いました。

紹介元の文献がこちらです。

腰のストレッチ法って曲げたり捻ったり伸ばしたり色々あるけど、どんなストレッチが1番伸ばせるのか特殊な超音波を使って調べてみたよ!という研究です。

特殊な超音波というのは、せん断波エラストグラフィという生体組織の硬さを測る技術だそうです。筋肉はストレッチされると硬くなるので、硬い=伸ばされているとみなし、どんなストレッチが効果的か数値化して比べてみたとか。

こういう研究、とても良いですね。
ストレッチを含む手技療法といわれる分野って、どのくらいの強さで伸ばすのか?押すのか?などが感覚的なものなので数値化が難しく、研究するにも人に教えるにもネックになってたりします。
こういう定量化を目指す研究は見つけるとうきうき読んでしまいます。

で、研究の内容ですが、目的の筋肉は脊柱起立筋多裂筋
両方とも腰痛の原因として挙げられる筋です。
その筋肉を、

  1. うつぶせ
  2. 正座して前に40°~45°屈曲
  3. 2の状態から伸ばしたい方の反対に30°側屈
  4. 2の状態から伸ばしたい方の反対に30°回旋

の4つの体勢で硬さを調べてみたそうです。

結果は、脊柱起立筋は

1234
5.0kPa13.7kPa20.8kPa9.2kPa

多裂筋は

1234
5.7kPa30.7kPa17.6kPa30.2kPa

kPaというのは硬さを表す単位で、この研究の場合高いほどよくストレッチされていると見ています。ほほう。

脊柱起立筋は腰痛の原因の筋とされることが多い筋肉ですが、これでみると身体を前に傾けてから側屈、というのが1番ストレッチをかけられるようです。

これはちょっと意外でした。
腰痛のストレッチって身体を捻って伸ばしがちでしたが、捻るのは脊柱起立筋にはあまり効かず、多裂筋にガッツリ効いています。
多裂筋も姿勢の維持だったり腹圧かけたりに使う筋肉なので全く無意味ということはありませんが、捻るだけでは十分なストレッチとは言えなそうです。
プラスで補強のストレッチが必要そうですね。

んーー面白い。
これはぜひ他の部位でも検証してほしいところ。
例えば臀筋のストレッチなども色々なやり方があるので、定量化できたら捗りそうですね。

ストレッチは、筋肉の始まりか終わりのどちらかをしっかりと固定しないと上手にかけられません。
腰などの体幹に近い部位はその固定がし難いため、1人でのストレッチは難しいとされていますがこのストレッチなら1人でも上手に伸ばせるかと思います。
エビデンスに基づいたストレッチ、腰痛で辛いときにぜひ試してみてください。

参考文献
山川 誠:せん断波伝搬による超音波エラストグラフィの原理.MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY Vol32.No2 March 2014