腰痛とは
2年に1回、厚生労働省によって行われる国民生活基礎調査で、痛みを感じている、と答える人が常にトップの腰痛。40歳以上で腰痛を訴える人はおおよそ2,800万人いると報告され、国民の5人に1人は腰痛を感じているということになります。40歳以下の人たちも合わせると腰痛を感じている人はもっと多いかもしれません。
そんな腰痛ですがその85%は非特異性腰痛といわれる、病名のつかない腰痛です。整形外科等でレントゲンを撮っても何も無かった、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。
この非特異性腰痛ですが、原因も痛みを感じる場所もさまざまで、腰椎だったり、筋肉だったり、股関節だったり、色々なところが原因で、背中、腰、骨盤周りなどなど色々なところに腰痛としてあらわれます。よくある原因と対処方法についていくつかご説明します。
反り腰や猫背
腰痛の原因の1つは、骨盤が前か後ろに傾きすぎているからです。
いわゆる反り腰とか、猫背といわれる状態です。骨盤は本来前にも後ろにも傾き過ぎず、前にも後ろにも傾ける中間位でいるべきなのですが、そこのバランスが崩れてしまっている状態になります。
なぜ反り腰や猫背になってしまうのか?ですが、お仕事や日常生活では同じ体の使い方が多くなりがちなため、同じ筋肉がどんどん硬くなり、どちらか片方に引っ張る筋肉が緊張した結果傾いていってしまいます。本来は協力してバランスを取り合うべき前後の筋肉が、片方だけが働き、片方がサボっている状態で腰を支えるため、働いていて硬くなっている方に引っ張られて骨盤が傾き、腰痛になってしまいます。
対処方法は、過緊張になっている筋肉を緩め、サボっている方を働かせれば前後のバランスがとれて腰痛は改善されます。
また、骨盤の前傾や後傾は腰痛だけでは無く椎間板ヘルニアや脊柱間狭窄症からの坐骨神経痛の原因にもなります。
簡単なストレッチやエクササイズで前後の筋肉のバランスを調整すると効果はすぐにあらわれるのですが、放っておくと身体は筋肉の慣れた使い方をしたがるので元に戻ってしまいます。
新しい筋肉の使い方を身体に覚えさせるため、最初のうちは定期的なエクササイズを行いましょう。
体幹の筋肉不足
おへその両側のちょっと斜め下あたりに出っ張っている骨、よく腰骨と言われている骨の内側に指を当てて息を吐ききってみましょう。指先に筋肉の動きは感じられますか?
感じられなかった方は腹横筋の動きの悪さが腰痛の原因になっているかもしれません。
腹横筋はお腹の周りをぐるっと囲むように走る筋肉です。筒のような形の筋肉なので、コルセット筋と呼ばれることもあります。この筋肉の作用はお腹を締めて腹圧を上げ、腰周りを安定させることです。
この腹横筋ですが、最近の研究で身体を動かそうとした時に他の筋肉に先立って活動する、ということが分かってきました。例えば腰を曲げようとした時に、実際に腰を曲げる筋肉が活動するよりも早く腹横筋が活動し腹圧を高め、腰を曲げる筋肉が活動しやすい環境を整えているのです。
この腹横筋がうまく動いてない場合、実際の動きを作る筋肉は不安定な状態で活動しなければならないため疲れやすくなり、腰痛の原因となってしまいます。実際に腰痛を感じている人の多くに腹横筋の活動遅延がみられるようです。
対処方法としてはエクササイズで腹横筋を刺激し、腹横筋本来の機能を取り戻してあげることです。体幹の筋肉はどう動いているのか解りづらく、効果があるのか自覚しにくい筋肉です。分かりやすいよう器具等を使い、筋肉の動きを自覚しやすい状態を目指します。
施術の方針
いくつか腰痛の原因と対処方法をご紹介しました。
上記の様に腰痛対策にはマッサージだけでなく、ストレッチやエクササイズが大切になります。
緩めるためのマッサージももちろん大切ですが、それだけでは2,3日たつとまた腰痛が戻ってきてしまうことが多いです。
当院ではまず筋肉の過緊張を緩め、痛みを抑えるためのマッサージを行った後、腰痛になり難い身体にするためのエクササイズを行っています。目先の腰痛を抑えるだけでなく腰痛自体にならないために。
腰痛でお悩みの方はぜひご相談ください。
30分 3000円
参考文献:
Paul Hodges;Carolyn Richardson; Inefficient Muscular Stabilization of the Lumbar Spine Associated With Low Back Pain: A Motor Control Evaluation of Transversus Abdominis. Spine. 21(22):2640–2650, NOVEMBER 15TH, 1996
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Woo-gyu Yoo; Effect of the Individual Strengthening Exercises for Posterior Pelvic Tilt Muscles on Back Pain, Pelvic Angle, and Lumbar ROM of a LBP Patient with Excessive Lordosis: A Case Study . J. Phys. Ther. Sci. 26: 319–320, 2014
三浦 雄一郎; 体幹筋機能の研究と慢性腰痛症の運動療法.関西理学 1:7_13,2001.