アーティストの痛みの原因
演奏家やダンサーなど、表現芸術家、アーティストは奇妙で特殊で、そしてきわめて過酷な環境に置かれています。
まずコンテスト等を除き成果が勝ちや負けや得点や時間などの数値化できるもので表れない。
結果、練習のゴールの設定が自分が納得するまでとなり練習時間は長大になっていきます。
そして求められるものが極めて精緻な身体運動のため、通常の人では問題にならないような軽微な運動の障害でもパフォーマンスに重大な影響を及ぼします。
長時間の練習により特定の部位の使い過ぎによるオーバーユース症候群を起こしやすく、精密な動きを求められるアーティストだから少しでも症状が出ると問題になる。
他ではあまりみないアーティストの障害の特徴だと思います。
アーティストに覚えていて欲しいこと
まず、アーティストに理解して頂きたいのは演奏やダンスも身体的な運動であるということ。
身体を激しく使うアスリートと同じように、演技、演奏の質の維持や向上のためには肉体的なケアやコンディショニングはとても重要です。
毎日欠かさない技術的な練習はパフォーマンス向上のためには必ずやるべきですが、痛みや曲がらないなどの機能障害のせいで集中できないと、せっかくの練習がもったいないです。
アーティストの治し方
練習を休むと技術が落ちることはよく理解していますので、安静にするように、という方針の施術はしません。 コンディショニングのためにパフォーマンスが落ちたら本末転倒なので。
炎症の急性期で痛みなどのため質の高い練習が望めない場合は、代わりの練習方法や、技術の向上に役立つようなフィジカルトレーニングなどを提案します。
アーティストの障害はダンサーは脚、演奏家は腕に表れることが多いのですが、体幹のトレーニングを行うことで障害の発生が減少し、筋肉の持続力が向上することが分かっています。
トレーニングといってもアーティストには最大筋力を求められるような場面は少ないと思いますので、身体を追い込むようなきついトレーニングではなく、神経の伝達を強化するようなトレーニングを行います。
すでに起きてしまっている障害を克服し、障害をおこしにくい身体を作り、アーティストが痛みに囚われることなくのびのびと表現できるよう全力でサポートします。
・このコースは30分からとさせて頂きます。
参考文献:
Emily Twitchett, Ph.D., Anna Brodrick, M.Sc., Alan M. Nevill, Ph.D., Yiannis Koutedakis, Ph.D.,
Manuela Angioi, M.Sc., and Matthew Wyon, Ph.D.:Does Physical Fitness Affect Injury Occurrence and
Time Loss Due to Injury in Elite Vocational Ballet Students?. Journal of Dance Medicine & Science • Volume 14, Number 1, 2010
Cliffton Chan,Bronwen Ackermann:Evidence-informedphysicaltherapymanagementofperformance-relatedmusculoskeletaldisordersinmusicians. Front. Psychol., 08 July 2014.
Norika SAITO,RPT,Sumikazu AKIYAMA,RPT,PhD:音楽家の身体症状とその対処法. 理学療法科学21,(4):447-451,2006